FLAMMA
プチ漫画集
■ 研究助手バスター
約十年前のこと。
ウォーレイ家の一人息子・バスターは当時12歳。
彼の両親は息子が学業において成功することを熱望し、家庭教師として近隣の超名門大学薬学部の学生テオドール・ヴェルヌを雇う。「家庭教師」というからにはウォーレイ家での指導を望まれたが、ヴェルヌの希望によりバスターがヴェルヌの研究室(大学時代のもの)に来て指導を受ける形となる。
この妥協が悲劇の始まりであった……
ドン・レグロのもとで日々ひっそりと あやしい薬の研究をしていたヴェルヌは、自分の生徒であるバスターをひどく気に入り、手元に置いて大切にしていた。
ヴェルヌは彼を実験助手としても扱い、
「被検体と直接対峙し薬を投与する」という危険な実験を行わせ、その結果を報告させていた……
ーーー
「今回の研究は、なかなか良いものになるネ。
きっと首領も大喜びだヨ。」
「……」
「じゃ、地下の実験室に向かって欲しいナ!
今日の実験では、被検体に傷をつけて そこに薬を投与するヨ。
この薬の治癒力を確認して、ボクに教えてネ。」
「…………はい」
・
・
・
「──ヴェルヌ先生、終わりました。」
実験室から戻ってきたバスターが、怪我だらけの姿となってヴェルヌの研究室へと入ってくる。…………

【小ネタ】のちにヴェルヌは成長したバスターから顔に大きな傷をつけられるが、ヴェルヌはその傷痕を隠そうとも消そうともしない。この話から分かる通り、彼はかなり早い段階で「傷をふさぎ痕も残さない薬」を発明するが、自分がバスターから受けた傷に対しては一切使っていない。
このことより、異常なまでのバスターへの執着がうかがえる。
【メモ】 当時のバスターはヴェルヌを「ヴェルヌ先生」と呼んでいるが、発音は「ムッシュ・ヴェルヌ / Monsieur Verne」である。
■ 四天王の紅一点 ヤーナ
十数年前、ロシアにて―――
偵察中のドン・レグロは、家族に捨てられ行き場をなくした少女と出会う。少女は会話こそできるものの、自分の名を忘れかけていた……。 ドン・レグロは少女に計り知れぬ可能性を感じ、彼女が名乗った名に近いロシア風の女性名、「ヤーナ」という名を与えて世話をすることに。
首領に拾われた少女・ヤーナは、彼に恩を感じた。そして、彼の美貌と風格、圧倒的カリスマ性に魅せられた。その日から彼のために人生を捧げることを決意し、身体を張ってどんな仕事でもこなしている。しかし、そんな恩を返したいというヤーナの温かい気持ちとは裏腹に、ドン・レグロははじめから 彼女を「使い勝手の良い従順で優秀な駒」としてしか見ておらず、彼女に人格すら認めていない。ドン・レグロは、彼にとって都合の悪い人物を暗殺するため、ヤーナに繰り返し能力を使わせているのだった……
人々に与えられた能力には「人を再起不能にしてはならない」というタブーがあり、それを能力者は本能で知っている。タブーを犯せば、神から肉体的・精神的な大ダメージを与えられるが、ヤーナは日々本能に抗いつつタブーを犯してまで、命令通りに能力を使って暗殺をしている。毎度下る罰に苦しむが、その日ごとにドン・レグロの能力「忘却」によって記憶がリセットされる。
そうして、ヤーナの身体には 見覚えのない傷と痛みばかりが増えていく……

■ Aurora首領 ドン・レグロ
悪党組織のトップ、ドン・レグロ。スペイン出身の元闘牛士。その美貌・風格にくわえて圧倒的カリスマ性をもち、つねに快楽を追い続ける――その姿はまさにスペインのドン・ファン伝説そのもの。彼のもとではどんな人間も道具となり、人間の個性とは 彼らの用途が様々であることに過ぎない……
今日も 仕事のできない道具を、
もてあそんだ後に片付ける。
今日も 用意した道具を、
惜しみなく使って片付ける。
そして "完璧" な彼の人生を誇るようにこう言う、

「明日は来ますよ。私のために。」
"Sale el sol. Para mí."
■ アメリカの救世主
リックがある依頼状を持ってくる。
その内容はシリアスだというが……




■ リックとヴィッキー
テキサス出身のスーパートランぺッター・リックと、カリフォルニアからやって来た凄腕エージェント・ヴィッキーは恋人同士。
いともたやすくターゲットを仕留めるリックの銃の腕前とその大胆さに惚れ直すヴィッキー。ヴィッキーはガンアクションものの映画が大好きでよく観ているが、大抵はリックを投影して観ている。


■ 道中
中国から復讐のため、米組のいるニューヨークへやって来た王奕鋅(ワン・イーシン)と吴浩然(ウー・ハオラン)の二人組の話。
彼らは過去に、悪党組織二番手 ヴェルヌの手下であったカイラーとバスターによって仲間を殺され、彼らもまた米組の二人に重傷を負わされている。
毎年、奕鋅と浩然の二人は故郷へ墓参りをしており、今年も彼らは亡き少女——熙遙(シーヤオ)へ花を手向けに行く。その道中、浩然が口をひらく……


