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STORY'

​章ごとの結末集

​第1章 人探し

殉職をぼんやりと期待しつつ、

跋扈する悪党どもを仲間と始末していくバスター。

 

順調にことが進んでいると思いきや、

彼はすっかり組織の策略にはまっていた。

 

標的を路地裏へ追い込んだそのとき、奇襲をかけられる。

襲撃犯は、

白衣を着た「赤髪の怪人」——ファーガス。

Aurora研究部から送られてきた彼は、

「血」を求めてバスターを執拗に痛めつける。

地に垂れた彼の血を採って、こう呟いた。

「やっと見つけた

 ——先生がアンタの血欲しいんだってさ」

Image by Luke Stackpoole

​第2章 試練は過去から

かつてAurora研究部の手下であったバスターとカイラーは、

今日の客——奕鋅と浩然を深く傷つけた過去を持つ。

 

機会をうかがい、再びバスターらの前に現れた奕鋅と浩然。

死に時が来たのかと、淡い期待を抱くバスター。

復讐を望む客人を前に、バスターを庇いつつ過去を語るカイラー。

 

浩然はカイラーの話を静かに聞き入れ、

今にも再び手が出そうな奕鋅を制御し、

自分でも溢れんばかりの思いを抑えて答える。

 

「うん。いいよ。待とう。

 じゃあ、君たちが過去に決着をつけたときに持ち越すよ。

 

 君たちを終わらせるのは、僕たちに他ならない。」

​​

この日から、バスターたちと浩然たちの奇妙な共闘関係が始まった。

​​

逃れられない過去を抱えていることを自覚し、

過去に決着をつけたら裁いてもらえることに、

ある種の希望を見出したバスターはひとまず

「先生」を追うことに決める。

​~~~~~~~~~~~~~~

 

後日、バスターが保安組織の仕事としてAurora組織員の相手をしていると、

どこからか黒いボレロに身を包んだ、覆面の男が現れた。

 

彼は細身の剣でAurora組織員の胸を音もなく貫き、

死体となったそれを何気なく放ってバスターのもとへ。

 

「ウォーレイさん。お初にお目にかかります。

 あいにく、私は名乗れる名前を持ち合わせておりませんが。」

 

「……あんたが俺を殺してくれるっていうのか? 先約はいるが」

 

「とんでもない!あなたの血には価値がある。

 またお会いしましょう。どんな形であれ……」

Image by Heather Shevlin

​第3章 向き合うとき

米組が調査を進めていく中、彼らの行く手を阻むべく現れたのは

不幸なAurora組織員・クロウ。

かつて彼の親友であったリックが相手をした。

結果、追い詰められたクロウはリックに事件の真相を吐いたのち、組織から粛清を受けた。

 

クロウの遺した情報によって大きな一歩を踏み出したバスターたちは、

さらなる情報を求め、より調査に力が入る。

 

そこに、再び浩然が現れ「調査のために紹介したい人がいる」と言う。

彼が連れてきたのは、先日バスターが遭遇した「あの男」を知る人物であった。

 

名はライタス。「あの男」の素顔と罪を知っている。

バスターたちは彼と協力し、Aurora内部へ近づいていくことを決めた……

 

ライタスと協力関係になってからしばらく経ち、

バスターがひとり街を歩いていると

彼の「血」を求めている「あの怪人」——ファーガスと再会する。

Aurora研究部の産物を駆使するファーガスにバスターは追い詰められ、とうとう致命傷を負う。

 

「やっとこれで完成する……先生のところに——」

 

傷口から流れ出す多量の「血」を採った怪人は、満足して去っていった。

 

・・・・・・・

 

 ……生きてる

 

保安組織医療局の手厚い手当てを受けたバスターは、一命をとりとめた。

そして、ふと感じた。

 

 あの時確かに、あいつには殺されたくないと思った

 ……どう死んでもいいわけじゃなかった

 どうせ死ぬのなら、自分で考えて死にたい

 

バスターの中で、死にたいと思う気持ちが変わっていった。

今この瞬間だけは、自分の身体を愛おしく思った。

Image by Andy Vult

​第4章 伸びてゆく影

● 前編

 

集会所はあっという間に荒れ果て、

かつて命を宿していた身体がそこらに転がっている。

 

三人は「代焔者」と名乗った教祖らしき男と、

傷を持った女——Aurora四天王のうちのひとり、執行部長ヤーナを撃破した。

 

結局首領の居場所を聞きだすことができなかったと、

集会所の棚の資料を漁り始めたころ、

仰向けになっているヤーナがふと発した。

 

「……レグロさま、わたくしを最期まで見届けてくださるとは」

 

集会所二階の吹き抜けに、黒い人影が見えた——

ライタスの脳裏を、過去が駆け抜けていった。

考えるまでもなく「レグロ」の影を追ったが、もうすでにその姿はなかった。

Image by Isak Ingerholt

● 後編

(あのバカ……)

 

リックはこの時が来ることを知っていた。

だから——クロウの暴露、「血の行先」はリックだけが聞いていた。

彼は、仲間にもすべては話していなかった。

最悪の事態を免れるために……

 

相手はAurora四天王のひとり、情報部長のジェンマ。

じわじわと追い詰められる拷問のような戦いの末、

なんとか押し切ったリック。

 

「ああ 悪かったよ 悪かった……

 おれも好きでこんな仕事してるんじゃないんだ 

 でももう 今更、だ」

 

「……なんだ? 遺言は聞いてやる」

 

リックは倒れこむジェンマに銃口を向けて言った。

 

「おれのジャケットのポケットに……くだらない日記がある

 照れくさいが……読んでやってくれないか この愚かな人間の、魂のため——」

 

——後日、リックは射殺した男、フラヴィオ・ジェンマの日記を読んだ。

これもまた、仲間には内緒で。

 

彼は日記を自分のトラベルバッグにしまい込むと、鍵をかけた。

 

 いつか、解き放ってやろう

 お前さんは……もう救えないが。

 

 

 

● エピローグ 

 

バスターが遅れて仲間たちに合流する。

療養明けとは思えない傷を負って、彼は現れた。

 

どうやら、往路であるAurora組織員——防衛部長ファジュルと出会ったという。

一戦を交えたのち、彼はこう残して去っていったという……

 

「……じきに夜は明ける。」

Image by Patrick Baum

​第5章 グラナダの夕べ

怪人・ファーガスはあまりの強力さに、バスターとカイラーでかかってもなかなか倒せない。

すると、お互い疲弊してきたあたりでファーガスを逃がしてしまう。

その後、カイラーはヴェルヌによってトラウマを植え付けられたバスターを庇い、ひとり研究室まで潜入する。

重い扉を開けては奥に進んでいくと、

そこにいたのは「先生」——ヴェルヌと、

胸に銃弾を受け、鮮血の上で横たわっているファーガスの姿が。

カイラーは戸惑いつつもヴェルヌに立ち向かうが、彼の発明品や強大な力に苦戦する。そこに、こっそりついてきていたバスターが覚悟を決めて飛び込んでくる……

~~~~~~~~~~​

激闘の末、ヴェルヌをダウンさせることに成功したカイラーとバスター。

バスターはとどめを刺そうとナイフを構えるが、ヴェルヌはそれを拒まなかった。

なにか、歪んだ愛のようなものが、そこに存在していた。

 

 ——そして、バスターは意を決しヴェルヌの胸をナイフで貫く。

ヴェルヌはぼそりと感謝の言葉をつぶやき、笑みをたたえながら事切れた……

 

その横で、カイラーは”Dossier Médical DM-No.6-AF”と書かれた奇妙なカルテを手に取る。

そこには、エイデンとファーガスが同一人物であったことが図で示されていた。しかし、カイラーが読み取れたのは、それだけであった。

 

カルテに挟まれた論文の草案には、

ヴェルヌの字でこう記されている——

 

”——Il constitue le sixième cas dans le cadre des expérimentations sur la dissociation de la personnalité, et il demeure, à ce jour, le sujet présentant le plus haut potentiel.

Je suis pleinement conscient que cette étude relève d’un domaine prohibé, mais dès lors qu’elle laisse entrevoir une avancée capable d’ébranler le monde, je me refuse à contrecarrer l’impulsion qui me pousse à la poursuivre et choisis d’en forcer la continuation.——”

 

「——彼は人格分離実験における第6例目にして、最も高い潜在性を有する被験体である。

本研究が禁忌領域に属することは重々承知しているが、世界に破壊的変革をもたらし得る成果が見込まれる以上、この本能的衝動に抗わず、敢えて強行する判断を取る。——」

 

加えて、エイデンが人格分離実験の被験体としてふさわしかった理由として、

とてつもない破壊衝動を抱えながらも、善良な医者としてふるまう姿がまさに人格分離を行うにふさわしいと考えられたため

 

という旨の記述がされている。

 

その後には苦悩の痕跡がみられ、論文の内容が破綻した様子が察される。

Image by Sayah EL YATIM

​第6章 夜長

(近日公開)

Image by Jorge Gardner

​第7章 FLAMMA

正気だろうかと心配する米組の三人。しかしバスターの話をじっくりと聞き、彼の選択を受け入れることにする。

彼の選択とは、「能力を使って自分を殺めること」。

 

これは能力者の三大禁忌

・能力で他人を再起不能にすること

・神の仕事を代行すること

・神からいただいた贈り物を、返すこと

の三つ目にあたる、いまだかつて誰も犯していない禁忌。方法は簡単。だが想像を絶する痛みと苦しみを味わうことになる。

バスターは仲間と別れ、覚悟を決めてついに行動にうつす。

多くの悪を裁いたその炎で、

自分の体ごと能力者の罪をお焚き上げ。

 

最大の禁忌を犯すことで神に能力を返すことに成功し、世界から能力がなくなった。

そのとき、Busterという名は「破壊者」として、

彼の炎は破壊と創造の炎として完成した。

Image by Dapo Oni

能力なんてものがなければ
狂わされなかった人生がある

 

能力なんてものがない方が
人間はよく生きることができる

能力なんてものがなくなってしまえば
保安組織も消滅する

追われることもなくなってみんなの人生が守られる

 

であれば、自分が———

 

彼が唯一恐れていたことは、
望まない人生の終え方をすることであった。

意味もなくただ自殺をするのは望まない
Aurora組織員に殺されるのは望まない
保安組織の刺客に殺されるのも望まない

 

後戻りできない今、選択肢はひとつだった。
 

仲間たちはついに歩き出す。

バスターの行く方へ歩き出す。

が、別れはあっという間にやってきた。

「死ぬところなんて誰にも見られたくないから、
このへんで。」

振り返ることもなく、
バスターはひとり人知れぬ廃教会へと向かう。

廃教会の前に立つ木のもとに
腰を下ろし、背を預けた。

 

能力者の禁忌
その中でも最も恐ろしいものを犯すからには、
相応の痛みと苦しみに耐えなけらばならない。

 

覚悟を決めてついに火をつける……

あっという間に体に火が付く。

 

——なぜか苦しくなかった。

むしろ、どこか優しくて眠りを誘うような
心地よさがあった。

この心地よさの正体は、すでに知っている。

 

「……ついてきたんだ、カイラー。
あのときの俺の真似か?」

「まあね 本当はちょっと怖かったんでしょ」

「…………」

「許して。あっち向いてるから」

「……どうも——

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

その瞬間、能力を手放した感覚を得た。

木のふもとには、塵ひとつ残っていなかった。

 

泣きはらしたような朝焼けの中、
四人でよく通った教会にカイラーが向かう。

そこではリックとヴィッキーが祈りを捧げていた。

もう、彼が苦しみませんよう———

世界が、能力のない世界に戻った。

人々に、また最初の朝がやってきた。

FLAMMA

- The Flame of Destruction and Creation -

​©2026 ariyu____

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