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STORY'

​章ごとの結末集

​第1章 NYのならず者

悪党集団はバスターらによって一掃される。……ある青年とはバスターのことであった。

バスターの「着火」能力と彼自身のことが欲しくてたまらなかったヴェルヌが、Aurora最下層の組員たちを集めてとらえようと仕組んでいた。そして米組をこのミッションに指名したのは、ヴェルヌに買収された保安組織幹部。

 

すでに保安組織も腐りきっているが、まだ組織員に噂されている程度。

Image by Luke Stackpoole

​第2章 試練は過去から

かつてヴェルヌの助手をしていたバスターとカイラー。ヴェルヌの実験のため中国に渡った際、彼らはヴェルヌに命じられて現地の男子ふたり(現・中華組)を瀕死状態にし、加えて彼らの仲間である幼い女子を殺してしまっていた。その復讐のため、中華組は保安組織へと入ったうえでバスターとカイラーを追い続けていた。保安組織を通じて会う約束をし、その当日バスターとカイラーは指定された場所へと向かうが、作戦を立てていた中華組に奇襲を仕掛けられる。やむを得ず相手をするが、最後は対話にて和解。最終的に中華組の2人は米組に協力することを決める。
 

 ②カジノでディーラーをしている男に声をかけられたリック。その男はリックを裏切り、彼に初めて社会の汚さを見せた男だった。かつて同じステージにて共演した仲間。しかし、今では敵対する者同士。今、その男は悪党組織(情報部)の手先となってリックの前に立ちはだかる。保安組織の名のもとに相手をするリック。彼は男を武力でも器の広さでも圧倒し、その場を去った。男は心を入れ替え、新しい人生を歩み始める。

③ヴィッキーが駆け出しのエージェントであったころ、一度任務に失敗し、ともに仕事をした相方が殺されてしまう。彼女は死んだ相方を横目に逃げ、命こそ助かるものの罪の意識にとらわれて今日も生きている。そんなある日、死んだ相方の兄に見つかって襲撃される。仕方なく実力行使をするヴィッキーであったが、最後は和解して終わる。

Image by Heather Shevlin

​第3章 向き合うとき

Aurora組織員の肉体強化はAurora研究部が開発した薬物によるものであり、組織員はその薬を投与されることで、人を超えるような力を手に入れていた。

「能力者の血さえあればその能力者の能力を薬の形に保存し、利用できる」という大発明をヴェルヌがした後に、生産効率を上げるため研究部が製薬する機械を開発した。それにより、組織員の肉体強化が急速に進んだ。その中で米組は苦戦しつつも、受けた依頼を解決し続ける。

 

その過程で、ライタス・ディアタルディという保安組織員に出会う。彼は過去にAurora首領の姿と、その犯行を間近で見ており、現在は保安組織員としてAurora首領を成敗すべく、Auroraの内部に近づこうとしている。かつてAurora研究部に属していたバスターとカイラーはライタスに協力することを決め、リックとヴィッキーも手を貸すことに快諾した。

 

ある日、路地裏で見かけたAurora組織員は、バスターを狙うヴェルヌの罠そのものであった。バスターが組織員に気を取られている隙に、彼を襲おうという作戦を立てていたのだ。ヴェルヌは、着火能力の薬が欲しいという首領のニーズにこたえるべく、研究助手であるファーガスを使い、ついにバスターを襲た。"彼"はついでに瀕死状態のバスターをとらえようとしたが、その場面を人に見られてしまい断念して血のみ採って去っていった。

 

保安組織医療局に属するエヴェリーナとエイデンの手当てを受け、すこしずつ回復していくバスターであったが、ことの重大さを悟る。

そして、初めて瀕死状態を経験した彼は 何となく持っていた希死念慮を手放す。

「どう死んでもいいなんて、そんなわけなかった。
どうせならやることやって、悔やまずに燃え尽きたい——」

Image by Andy Vult

​第4章 伸びてゆく影

彼の名はファジュル。

Aurora首領直属の部下四人組

——Aurora四天王のひとりであった……

勝負もついて、カイラーはとどめを刺そうともう一度仕込み杖を構えると、ファジュルが口を開く。

自分には信念があったこと、

Aurora首領への失望、

結果として悪事に加担し続けてしまったという告白

アンダルシアのとある廃闘牛場に、

すべてがあるということ——

己の行いを悔い、首領を裏切った彼は、そこで自分の首にサーベルをあてて自決する。カイラーは彼が語ったことをしっかりと受け取って、仲間たちに伝える。それを受けて米組とライタスはスペインに向かうこととなった。

Auroraの本部はグラナダにあり、研究部のアジト(研究室)もそこに置かれている。

この場所に部外者が決してたどり着けないように隠していたのはファジュルの「幻影」であったため、彼の自決後はヴェルヌの発明品の力を頼るしかなくなった。いち早くファジュルの死を察した首領は製薬済みの「幻影」を使ってその場しのぎで本部と研究室を隠し、四天王の三番手ヤーナと二番手のジェンマに迎え撃ちを命じる。彼らはそれぞれヴィッキーとリックが中心となって相手をし、奕鋅と浩然の協力も受けて死闘の末に倒すことができた。

Image by Isak Ingerholt

激闘の末ヴェルヌをダウンさせることに成功したカイラーとバスター。バスターはとどめを刺そうとナイフを構えるが、ヴェルヌはそれを拒まなかった。

なにか、歪んだ愛のようなものが、そこに存在していた。

そして、バスターは意を決し

ヴェルヌの胸をナイフで貫く。

ヴェルヌはぼそりと感謝の言葉をつぶやき、笑みをたたえながら事切れた……

その横で、カイラーは "Dossier Médical DM-Φ13-AF" と書かれた奇妙なカルテを手に取る。そこには、エイデンとファーガスが同一人物であったことが図で示されていた。

しかし、カイラーが読み取れたのは、それだけであった。

カルテに挟まれた論文の草案には、ヴェルヌの字でこう記されている——

"——Il constitue le sixième cas dans le cadre des expérimentations sur la dissociation de la personnalité, et il demeure, à ce jour, le sujet présentant le plus haut potentiel. Je suis pleinement conscient que cette étude relève d'un domaine prohibé, mais dès lors qu'elle laisse entrevoir une avancée capable d'ébranler le monde, je me refuse à contrecarrer l'impulsion qui me pousse à la poursuivre et choisis d'en forcer la continuation.——"

「——彼は人格分離実験における第6例目にして、最も高い潜在性を有する被験体である。本研究が禁忌領域に属することは重々承知しているが、世界に破壊的変革をもたらし得る成果が見込まれる以上、この本能的衝動に抗わず、敢えて強行する判断を取る。——」

 

加えて、エイデンが人格分離実験の被験体としてふさわしかった理由として、

とてつもない破壊衝動を抱えながらも、善良な医者としてふるまう姿がまさに人格分離を行うにふさわしいと考えられたため……という旨の記述がされている。

 

その後には苦悩の痕跡がみられ、論文の内容が破綻した様子が察される。

Image by Dogancan Ozturan

​第5章 グラナダの夕べ

剣豪と名高いディアタルディ家のライタスでも、剣豪かつAurora研究部が開発した薬で肉体強化をしているドン・レグロを1人で相手にすることは難しかったようだ。バスターが廃闘牛場へ着いたとき、既にライタスは疲弊している状態で出血量もかなり多く、今すぐにでも手当てが必要な状態であった。

しかし、ライタスの剣技はやはり本物で、彼はドン・レグロの脇腹にざっくりと斬撃を食らわせていた。初めの段階より確実にドン・レグロは弱っている。バスターはそんな剣豪ライタスに敬意を表して後ろに下げ、庇うようにして応戦する。バスターは傷を受けてもエヴェリーナから貰った薬で回復しつつ、それをライタスにも与えつつ……

体制をうまく立て直せていると思った矢先、

非情にもドン・レグロは

再び立ち上がったライタスに剣を振るった。

 

「そう、これは不変の真理……
強い者だけが夜を越えることができる。


明日は来ますよ、私のために。」

そう呟きながら、たやすく、またひとりの命を奪う。

目の前で起こった喪失に対処しきれなかったバスターの感情は、彼の力を増幅させた。お互い命を削り合い、最後に立っていたのは……バスターだった。

ライタスがドン・レグロに与えた斬撃が効いてきたようで、だんだん動きが鈍くなってきたところにバスターが渾身の一撃を放った。身体を改造したとしても、所詮人間は人間なのだ。トドメにライタスが握っていた剣を借りてドン・レグロの胸部を突き刺す。

 

最期まで美しい姿をしていたこの男に不思議な感覚を覚えつつ、バスターはその亡骸に火をつける。骨までも全て焼き尽くすバスターの炎によって、悪党組織は葬り去られる。

彼が空を見上げると、既に夜が明けていた。

そしてまた陽が昇る、みんなのために。

Image by Sayah EL YATIM

​第6章 untitled

連戦続きで疲弊している上に保安組織から刺客を送り込まれる日々で、米組はどんどん追い詰められていく。奕鋅と浩然の協力を受けてはいるものの、到底安心できる時間など一切ない。刺客に狙われてしまうため、四人で共に暮らした家も出ることとなる。

何人かの刺客を確認し返り討ちにするが、刺客の中にひとりだけ、異質な者がいた。それはロンドン出身の凄腕スナイパー、ギルバート・ホルバイン。彼はライタスと仲が良かった。今狙っている米組がライタスと協力関係にあったことを知っており、暗殺をしたいとは全く思えない状況であった。しかし、仕事がなくなるのも困るのでしぶしぶ弾を確認し、ターゲット……カイラーに銃を向けようとすると、その間にカイラーは彼の後ろに回り込んでいた。

「接近戦、苦手でしょ。」

 

ギルバートの首元に仕込み杖を添えて、そう言う。カイラーに圧倒されたギルバートは言葉を失い、降参する……。

 

のちに和解し、会話を続けていく中でカイラーとギルバートは異母姉弟であったことが判明。それからカイラーとギルバートは仲良くなり、またいつか会おうと約束をしてその場を去った。

その後も米組にとっては気の抜けない日々が続き、限界を感じ始めたバスターが、ある決意をする……

Image by Jorge Gardner

​第7章 FLAMMA

正気だろうかと心配する米組の三人。しかしバスターの話をじっくりと聞き、彼の選択を受け入れることにする。

彼の選択とは、「能力を使って自分を殺めること」。

 

これは能力者の三大禁忌

・能力で他人を再起不能にすること

・神の仕事を代行すること

・神からいただいた贈り物を、返すこと

の三つ目にあたる、いまだかつて誰も犯していない禁忌。方法は簡単。だが想像を絶する痛みと苦しみを味わうことになる。

バスターは仲間と別れ、覚悟を決めてついに行動にうつす。

多くの悪を裁いたその炎で、

自分の体ごと能力者の罪をお焚き上げ。

 

最大の禁忌を犯すことで神に能力を返すことに成功し、世界から能力がなくなった。

そのとき、Busterという名は「破壊者」として、

彼の炎は破壊と創造の炎として完成した。

ーーー

この世に能力者が存在したのはたった数十年。その短い期間の中で、神は人間を試していた。神からの贈り物を返すことはこの上なく冒涜的に思えるが、能力者の犯した罪の数々にあきれていた神は、この世界をどうしようかと思案していた。その矢先、能力者の本能が最も禁忌であると認識するこの行為を成し遂げてまでも能力を否定したバスターを見て驚き、感心し、彼の魂に免じて人々にいつも通りの世界を与えた。

 

カイラーは兄弟と自分探しの旅へ出る。リックとヴィッキーは結ばれてヴィッキーの実家へ。

彼らは米組として仕事をすることも、米組としてシェアハウスをすることもなくなったが、関係は続いていく……

Image by Dapo Oni

能力なんてものがなければ
狂わされなかった人生がある

 

能力なんてものがない方が
人間はよく生きることができる

能力なんてものがなくなってしまえば
保安組織も消滅する

追われることもなくなってみんなの人生が守られる

 

であれば、自分が———

 

彼が唯一恐れていたことは、
望まない人生の終え方をすることであった。

意味もなくただ自殺をするのは望まない
Aurora組織員に殺されるのは望まない
保安組織の刺客に殺されるのも望まない

 

後戻りできない今、選択肢はひとつだった。
 

仲間たちはついに歩き出す。

バスターの行く方へ歩き出す。

が、別れはあっという間にやってきた。

「死ぬところなんて誰にも見られたくないから、
このへんで。」

振り返ることもなく、
バスターはひとり人知れぬ廃教会へと向かう。

廃教会の前に立つ木のもとに
腰を下ろし、背を預けた。

 

能力者の禁忌
その中でも最も恐ろしいものを犯すからには、
相応の痛みと苦しみに耐えなけらばならない。

 

覚悟を決めてついに火をつける……

あっという間に体に火が付く。

 

——なぜか苦しくなかった。

むしろ、どこか優しくて眠りを誘うような
心地よさがあった。

この心地よさの正体は、すでに知っている。

 

「……ついてきたんだ、カイラー。
あのときの俺の真似か?」

「まあね 本当はちょっと怖かったんでしょ」

「…………」

「許して。あっち向いてるから」

「……どうも——

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

その瞬間、能力を手放した感覚を得た。

木のふもとには、塵ひとつ残っていなかった。

 

泣きはらしたような朝焼けの中、
四人でよく通った教会にカイラーが向かう。

そこではリックとヴィッキーが祈りを捧げていた。

もう、彼が苦しみませんよう———

世界が、能力のない世界に戻った。

人々に、また最初の朝がやってきた。

FLAMMA

- The Flame of Destruction and Creation -

​©2025 ariyu____

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